鳩山由紀夫首相と長年の盟友、菅直人副総理・財務相との間にすきま風が吹いている。財政への危機感から財政健全化法案の国会提出と新規国債発行額抑制の目標値設定を主張する菅氏に対し、首相はダメ出しを続けている。米軍普天間飛行場問題も下がり続ける内閣支持率も何のそのと続投に意欲を示す首相と、自他ともに「ポスト鳩山」の一番手と認める菅氏の立ち位置が、互いの心理に影響しているようだ。(酒井充)
「財政を担当している立場からすると、5年先、10年先にどうなるんだということを踏まえてほしい」
菅氏は14日の記者会見でこう訴え、財政健全化と消費税増税の必要性を強く訴えた。しかし、菅氏の主張に首相は冷たい。
「財政規律を守りたい財務相の気持ちは分からないでもないが、決して私の考えではない」
首相は11日夜、菅氏が同日午前の会見で示した平成23年度予算の新規国債発行額を22年度当初予算の水準以下に抑える考えを即座に否定した。首相は4月下旬にも、財政健全化法案の今国会提出を求める菅氏に「法案への理解がまだ不十分だ」とにべもなかった。
菅氏は、ギリシャの財政危機に関する国際会議に出席するたびに日本の財政への危機感を強めているという。財務省が菅氏を取り込んだとの見方もあるが、民主党政権の財政規律が緩みっぱなしなのも事実だ。
「財政への現実的な対応を強調し、軽い言動で無責任な首相との違いを見せたいのではないか」
菅氏周辺は、ポスト鳩山への意欲の表れだと解説する。菅氏は最近、首相と距離を置くような発言が目立つ。首相が苦しむ普天間問題に対しても、「私はほとんどかかわりを持っていない」と繰り返すばかりだ。
ただ、菅氏が財政規律を強調しすぎれば、参院選を前に選挙重視の小沢一郎幹事長の不評を買うリスクも伴う。ポスト鳩山レースで菅氏の強みは小沢氏との良好な関係にあり、小沢氏の政治とカネの問題への批判も遠慮気味だ。首相も小沢氏との距離感が政権持続のカギを握るだけに、菅氏とのさや当てが続きそうだ。
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